Guitar notes in a hutch

一人ギターのために調べた事を記録しておきます

Eric Clapton Mid Boost 回路

自作している AKAI のギター、SSL5/6 を載せてしばらく弾いていましたが、どうしてもノイズが気になり、換装するピックアップを探していました。一回 STK を購入したんですが、これは高さがあるためザグリに収まりませんでした。

最終的に候補に挙がったのはレースセンサー。クラプトンも使用しているのであこがれはありましたが中古で見かける機会が若干少ないしあまり安くなっていないので、それほど気合を入れて探していなかったのですが、上記の通りこれしかないとなり、探すことにしました。ターゲットはレースセンサーで Gold です。(Hot Gold では無く)。

しばらくして中古でレースセンサーを中古の相場程度で3個セット (Gold) を見つけたのですが、それは Fender Japan のストラトについていたという事で、なんと Mid Boost 回路もおまけでついているもの。相場より安いものを狙っていましたが回路込みであれば十分安いと判断し、購入しました。

まずは Mid Boost は後回しにしてレースセンサーへの換装。→ 良い!

ノイズは全く問題なく (ピック周りのキャビティのシールドはしていないにもかかわらず) 音も好みのもの。これでピックアップに関しては完了。

あとはせっかくついてきた Mid Boost 回路をどのように装着するか、下調べをしてみたんですが、断片的な情報はあるものの、自分で咀嚼できるような簡易でまとまったものがないので、こちらで自分の調べた結果を自分なりにまとめてみます。

推測で書いている部分もありますので、その点はご注意ください。

Basics: 基本

まずは正式な Mid Boost 回路は Fender US の出している下記製品になると思います

サウンドハウスで 1万2千円程度、基板が結構大きいらしいです。

これに対して、過去フェンダージャパンで Mid Boost 回路を積んでいたストラトが売られていたようです。

ST54-xxLS などといった品番らしいですが、そちらはフェンダージャパン独自の Mid Boost 基板を付けていたとのこと。

今回入手できたのはこちらの基板になります。

また、US版との回路の違いなど実物を解析して調べた方の記録が以下にあります。(大変参考になりました)

www.yk.rim.or.jp

それから、この Mid Boost の事を調べていると TBX ポットというものも重要である感じで出てきます。これらも含めて、自分なりの理解を記していきます。

US版 回路の配線

ところで上記の Web サイトや、そちらを参考に実際に制作された方の Web サイト (下記) 

http://blogs.yahoo.co.jp/kan_chan_2001/folder/1489333.html

などはどちらかというと Mid Boost 回路を自作するための情報で、「基板はあるけどポットの定数やワイヤリングをどうしたらいいの?」という目的のためには難しすぎる部分がありました。

なので、細かい回路はともかく全体の信号の流れをまず、理解するところから始めようと、US版ではありますが、Mid Boost Circuit の配線図 (wiring diagram) を探してみました。例えば

guitarelectronics.com

などです。

これら見ながら自分なりに理解した信号の流れが以下になります。

 

Mid Boost (US)

これを理解する上でのポイントは上記 Studio "Slowhand" さんの web に書いてある

「EC (US) の方は PU → 入力バッファ → ボリュームポット → ミッドブースト → ブーストポット という接続順」

という記述、Mid Boost 回路には何本ものケーブルが出ていますが、「バッファ」と「ミッドブースト」の機能両方が入っていることが分かります。

それと配線図を見て、信号の流れを順に理解していくと (上図参照)

  • ピックアップ (レースセンサー) はパッシブのピックアップであり、ハイインピーダンス (High Z) の信号が出力される
    • セレクターは3つのピックアップのどれかを選ぶだけなので、上図からは省略しました
  • その後の信号はまずトーンポットに入ります。配線図のサイトでは定数は書いてませんが、おそらく A250k のポットで、通常のパッシブのピックアップと同じトーン回路になると思います。ここではまだハイインピーダンスの信号です (High Z, tone)
    • 注: ここは TBX トーンポットが入る場合もあると思いますが、僕の解釈ではレースセンサー用にうまく調整されたトーン回路である、という事で Mid Boost に着目した場合は関係ない、つまり普通のトーン回路でも TBX のトーン回路でもどちらでも使っていい (好みで使い分ければよい) という事だと思います。
    • TBX に関して詳しくは下記が大変参考になると思います。

      www.jazzcaster.com



  • ここで信号は Mid Boost 基板に入ります。Studio "Slowhand" さん情報からここはバッファ回路なのだと思います。従ってここを通った後の出力信号はローインピーダンスになっているはずで、トーンは調整済みです (Low Z, tone)
  • 次のボリューム回路は ローインピーダンスの信号を処理するためのボリューム、つまりアクティブ回路用のボリュームになります。 (Low Z, vol & tone)
    • なぜ A50k を使用するのかがこれで分かります。ここからはアクティブ回路なんです!
  • 次はミッドブーストのポットです。これはブースト量を調整するもののはずですから、最初は Mid Boost 基板につながってそこの定数をいじるものかと思っていましたが、どうも配線図から見ると、ブースト回路としてのブースト量は一定で、ブースト回路を通る前の元の信号と、通った後の両方のブースト信号を混ぜて、その混ざり具合でブースト量を調整する、もののようです(多分)。なぜならポットの真ん中が出力で、左右の入力に、上記2つの信号がつながっているからです。
    • 推測ですが、ジャパン回路の場合はブースト量が小さい、という記述が見つかるのですが、Studio "Slowhand" さん情報では回路的に大きな差異はないとの事。であれば、その違いはここのポットに A50k を使うか、 A250k を使うか、ではないでしょうか?
    • いずれにせよ、最初に入力バッファを通す理由もここで推測できます。ブースト回路を通った後の信号はローインピーダンス (アクティブ) のはずでしょうから、元の信号を混ぜることでブースト量を調整しているのであれば、元の信号もローインピーダンス (アクティブ) にしないとバランスがとれない、という事ではないでしょうか。(いや本当かどうかは分かりませんが)
  • という事で、その後は OUTPUT ジャックに信号が出力されます。

JP版 回路の配線

そこまで推測したうえで、今回入手した JP 版の配線を実際のもので見てみます。

  • トーンは A250k のポットに 473k のコンデンサーが付いていました。普通のシングルコイル (ストラト) ギター用のトーン回路です
  • Studio "Slowhand" さん情報では「ST54 は PU → ボリュームポット → 入力バッファ → ミッドブースト → ブーストポット」の接続順とのことですが、入手した回路では US版と同じ接続順のようです
  • ブースト用のポットは A50k になっています。ボリュームと揃えた感じがしますが、前述の通りここを A250k にすると US版と同等になるのでは???

Mid Boost (JP)

といったところで、実際にどういう配線にするかをこれから考えようと思います。